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松下村塾/投球の仕方--自分で発信!
静岡大学集中講義
・人物紹介、その人の何を伝える?
サンプルより:
大ちゃんの紹介は、まずテレビゲームの画面から入った。
よくある「障害者はみんなハンディと戦いながら清く正しくがんばっている」というような、感動押し売り型の描き方をしたくなかった。大ちゃんのお母さんから「大ちゃんは最近テレビゲームばっかり」と聞き、テレビゲームの画面から入った。大ちゃんのごく普通の生活を紹介することで、視聴者に「テレビの中の立派な少年」ではなく、「どこにでもいる男の子」というシンパシーを持ってもらうこともできる。
・撮りたいリアクションが自然に出てくる状況作り
サンプルより:
絵の制作に参加した全国の3000人余りから、4人をピックアップして紹介した。障害を持つお父さんとその家族が、休日に一家で動物園に行くシーン。子供達がカメラに向かって手を振る。
「明るい家族」を描きたいからといって、子供達に「手を振って」などとは決して頼まない。被取材者には、あくまで普段通りにしていてもらう。このシーンは、撮影したスタッフ達から子供達へ手を振った。本当に明るい家族なら、明るいリアクションを返してくれるはず、と予想していた。
・現場の音で臨場感を!…排除すべき音と録るべき音
サンプルより:
イベント当日、大ちゃんは家族と一緒に飛行船に乗り、地上の大きな絵を見下ろした。完成した絵が初めて登場するシーンでは、それまでのBGMが一瞬途切れ、飛行船のエンジン音と、「うわー!」という大ちゃんの声が流れた。
飛行船のエンジン音や何気ない会話も、臨場感を出すための表現材料として撮影しておいた。雑音のように思える音でも、材料になるかもしれない。撮影の時は、何を排除して何を録っておくか考えよう。
・一番伝えたいことは、最初か最後に
サンプルより:
イベント当日、大ちゃんは学校を休んで会場へ。しかし、絵のモデルになった大ちゃんの親友、ともちゃんは、学校へ行かなくてはならない。ともちゃんが一緒にイベント会場へ行けないと知った大ちゃんは、ともちゃんに向かって「かわいそう」と一言。
障害者が健常者に向かって「かわいそう」と言うこのシーンは、多くのメッセージを投げかける。このシーンは、イベント前日放送分のニュースではラストに、イベント当日放送分のニュースではオープニングに紹介した。