松下村塾/投球の仕方--自分で発信!

静岡大学集中講義

3日目 中間発表で出てきたポイント(抜粋)
2003年2月18日 【 ノート5 】
1班:浜松キャンパスのバレンタイン模様
【 編集時 】
インタビュー内容の取捨選択…全体傾向から極端に離れるな

学生リポートより:
女子学生に比べ、男子学生が圧倒的に多い浜松キャンパス。チョコレートをもらっている男子は少ないはず、と予想していたが、アンケートをとってみると、男子学生の4分の3はチョコレートをもらっていた。しかしリポートの中のインタビューでは、「もらっていない」という声をいくつか紹介し、「もらった」と答えた人を一人だけ紹介した。

インタビューの比率は、アンケート結果の比率から極端に離れないようにしよう。インタビューを見ていると、「男子学生の多くはチョコレートをもらっていない」という印象を受ける。しかしリポートの最後に「4分の3はもらっている」というアンケート結果が出てくるので、視聴者は「あれ?どっちなの?」とわからなくなってしまう。「わざわざ"チョコをもらえない男たち"を描こうとしている」「作為的だ」という印象を持たれてしまうことにも。

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2班:学生生協隣の理髪店について
【 編集時 】
字幕は映像のジャマ者!→1文字でも削る努力を
空いている五感はないか?

学生リポートより:
リポートは、学生生協からパーンし、理髪店に近づいていく映像でスタートする。画面中央に「学生生協の横にある床屋を知っていますか?」という字幕が出るが、字が小さくて読みづらい。

字幕の字が小さいと、視聴者は読むことに集中してしまい、映像を見なくなってしまう。字幕はあくまで、映像で伝えきれない情報を伝える補助線。映像の邪魔にならない位置に、少ない文字数で、視聴者が意識しないで読めるように出そう。このシーンでは、「理髪店が生協の横にある」という情報を映像だけでも伝えることができるし、映像を十分見せるために、字幕ではなくナレーションを使う方法もある。現にこのシーンでは、視聴者の聴覚が空いている。逆に視覚は、映像と字幕の両方を追わなければならない。視聴者の五感すべてを効率良く使って訴えよう。

【 編集時 】
長しゃべりには他の絵を挿入=耳情報を目情報で補強

学生リポートより:
理髪店の管理をしている大学の職員さんにインタビューを行った。しかし、3分のリポートのほとんどが、喋っている職員さんの顔で構成されている。

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3班:「オタクの巣窟」?某研究室の実態
【 編集時 】
迷ったら自分自身に取材する!
最初の狙いとのズレを、どうニュース・バリューにするか

学生リポートより:
某研究室に対する外部のイメージを取材してみると、「マニアック」「ゲームがたくさんある」という声はあったものの、「一目置いている」「否定はしない」という人がほとんどだった。予想していたよりも、評判は悪くないようだ。これでは、「この研究室は、評判は悪いが、実際は良いところもある」という、予定していたラストが成り立たない。

着地に迷ったら、スタート地点を思い出そう。この研究室に所属している班員が「自分達の評判は悪い」と思っていたことが、この企画のスタート。しかし、実際にはそこまで悪いイメージを持たれていない。ならば、「この研究室のメンバーは、実際以上に『自分達の評判は悪い』と思っている。それはなぜだろう」ということがニュース・バリューとして新たに浮上しないだろうか?

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5班:障害者支援のあり方について
【 編集時 】
ナレ&字幕の言葉の選択…傷つく人がいないか注意!
多数への発信は一種の暴力→加害者になるな!

学生リポートより:
障害者支援マルチメディア情報センターで働く人のインタビューに合わせ、「障害を持つ人の技能習得を手伝っている」という字幕が出る。しかし、視聴者役の学生から、「『手伝っている』という表現は、健常者が障害者の上に立っている、という印象を受ける」という意見が出された。この意見には、学生達の賛否が分かれた。

作り手がまったく意識していなくても、視聴者に不快感を与えたり、傷つけてしまうことがある。同じ単語でも、使われる状況や受け手の個人史などによっても反応は千差万別である。とても微妙な、感覚的な判断をしなくてはならないが、ケースバイケースで、できる限りの注意を!

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