ホーム下村健一の中と外(ケンボーの走り書き)バックナンバー>倉本聰さん「闇の教室」は、相当面白い!

下村健一の中と外

倉本聰さん「闇の教室」は、相当面白い!

2007年7月26日

本格始動前に『NEWS23』で紹介させていただいた、倉本聰さんプロデュースの「富良野自然塾」に、最近また新たな名所が加わった。人間の五感のうち《視覚》を完全に遮断する真っ暗闇の室内に、他の四感(触覚・聴覚・嗅覚・味覚)を蘇生させる様々な仕掛けが織り込まれた、「闇の教室」である。闇の中から寡黙な案内人の囁き声が時々聞こえてくるだけで、参加者同士の会話も原則禁止。参加者は互いに手を繋ぐこともなく、けっこう長時間(時計も見えないから、長さも勘でしか分からない)、自分の四感だけを頼りに、漆黒の中を裸足で彷徨い歩くのだ。

僕も、北大での講演のついでに富良野に足を伸ばし、一昨日、一家4人で初めてそこに参加した。8歳の娘が怖がるかと思いきや、非日常体験を大いに楽しんでいる様子。文明に慣らされきった大人達よりも、むしろ子供達の方が、野性に還るまでの距離が短いのかもしれない。

東京などで時々開催されている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、その名の通り、真っ暗闇の中で《対話》をする体験だから、沈黙が基本の「闇の教室」とは似て非なるものだ。「ダイアログ…」に参加した時には、見知らぬ大人と普段全く会話できない我が息子(当時小学校高学年)が、闇の中でいきなり赤の他人とスラスラ言葉を交し始めて、僕は大いに驚いた。それもまた、分断された現代人のコミュニケーションの回復という面白い体験で、どちらもそれぞれにお勧めだ。

ただ、「もう一度行きたいのはどちらか」と問われれば、僕は個人的好みとしては、「闇の教室」に軍配を上げるなぁ。やっぱり、闇には沈黙の方が、似合うんだよね。