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下村健一の中と外

胸に迫った万感と、果てなき空想?を込めたネーミング

2007年11月29日

とある日の打合せで、取材先に資料の請求依頼をしていた健ちゃん。

「…よろしくお願いします。資料は、オフィスあん宛に送ってください」

そう言って、電話を終えた健ちゃんに、ふと浮かんだ疑問をぶつけてみました。

「なんで、“オフィスあん”なんですか?」

「へ? あ、ネーミングのこと?」

“オフィスあん”とは、健ちゃんのマネージメントを担当しているオフィスの名前です。普通なら、 お堅い事務所の名称を、餡子(あんこ)みたいなネーミングにはしないもんなぁ。気になればなるほど、 私は、その名前の由来を聞きたくなりました。

よくぞ聞いてくれましたと言いたげな健ちゃんは、胸を張って喋り始めました。

「うーん、まずAlternative Newsの頭文字を取って“AN(あん)”でしょ」

おおっ、オルタナティブ・ニュース!(意訳すると「もうひとつの、別のニュース報道」ってとこかな?)
さすが、健ちゃん。ひとつのニュースを様々なアングルから捉えようと、いつも考えてるもんね。

「これから設立する会社の名前をどうするかって考えたとき、僕はちょうど40歳で。『40歳は“不惑”の年』って言うで しょ? だから、近所のお“不動”さんに行って考えようと、ひとり散歩に出たわけよ」

なるほど、健ちゃんがニューヨークから帰国した後、最初に住んだのが目黒で、その自宅から程近い所に 目黒不動尊があったっけ。

「で、お“不動”さんの仁王さまの阿吽(あ・うん)でしょ」

ああ、境内の入り口に立っている2体の仁王像の口の形が「あ」と「ん」だったからね。“打てば響く”「阿吽の呼吸」という 意味も、ネーミングで組み込んだのか。深いなぁ。

「おまけに、僕の住んでた目黒区の区鳥が、しじゅうから(四十雀)! もう、やるっきゃないって思ったんだよね。」

いろんな意味や思いを込めて名づけたのねぇ。いや感心、感心。
遠い目をしながら、感慨深げにそこまで語った健ちゃんでしたが、しかし次の瞬間、ふと俯いてこう言いました。

「でも、この社名を聞くと、知り合いは皆、『銀座の馴染みの女性の名前だろ!』って言うんだよね…」

ぎ、銀座ぁ? …健ちゃん、それ、絶対あり得ないから。皆もそれが分かってて、ただ言ってるだけだって。

うーん、「健ちゃん」と「銀座」? なんだか思いっきり雰囲気が合わないような気がして、銀座になんて飲みに行くことが あるのか、訊いてみました。すると健ちゃん、胸を張って…

「あるよ! (小声で)…みのさんに連れられて」

…やっぱりね、一人じゃ絶対に行けない健ちゃんなのでありました。まぁ、その、なんだ。人間、果てしなく空想するのは自由だもんね、よしよし。(エリー)