下村健一の中と外

明日出版する私の新刊書について

2013年03月10日

タイトルは、『首相官邸で働いて 初めてわかったこと』(朝日新書)。税込903円、価格も中身もお手頃です。(こちらより購入していただけます
どういう趣旨で書いたものか、プロローグから、一部抜粋します。

[以下抜粋] 昨年秋、任期満了して民間に戻って来てから、僕は友人・知人に会うたびに「この二年間はどんな日々だったの?」と訊かれる。そんな時、彼らが一番知りたいのは、その間に施行(あるいは断念)された政策の細かい中身ではなく、マスコミが好んで描く政局の力学でもなく、《一体あの首相官邸というブラックボックスの中では、人々はどんな会話をして、どんな事を考え巡らせて、どんな理想を信じたり諦めたりして物事を決めていっているのか》、という基本的なことなのだ。たしかに、格調高い官邸内幕本は数あれど、そういう疑問に平明に答えた本は、今まで殆どないだろう。ならば、それに応えることだけを目的としたシンプルな現場リポートを書こう。「私」でなく「僕」という目線の高さで。
玄人ウケしそうな裏読みや憶測、講釈は加えない。自分が直接タッチした以外のことは、無責任な伝聞になるので書かない。アレはオレがやったんだぜ、と実際以上に吹聴する〝アレオレ詐欺〟も慎む。悪者探しや愚痴や弁解のためでなく、《じゃあ、どうしたらいいのか》今後のヒントにするために、見たまま・体験したままを、とことん素直に書いていきたい。

(以上、プロローグより)

本の構成は、シンプルです。基本的に、着任から退任までを時系列の順に書いています。「下村の突然の転身」が未だ納得できない方は序章、「平時の首相執務室の様子」を見たい方は第1・2章、「震災や原発事故の頃の官邸の中」を覗きたい方は第3章、「原発再稼働」や「30年代ゼロ戦略」について知りたい方は第6章、といった具合に、どうぞ関心の向く所からお読みください。目次から、抜粋します。

[プロローグ] 民主党大敗、それから七十五日
[序章] 学生ボランティア発→TBS経由→総理官邸着
・「乾杯ぐらいさせてよ」――総理就任の夜が暗示した結末
・「菅直人をそう簡単には応援しない会」という応援団
・「俺に付いて来い」――菅直人が決して言わない言葉
・「どうなってんの?」――それはこっちのセリフだよ!

[第一章] ズルズルと税金泥棒へ (2010.10.22~12.31)
・「権力の犬になるのか」への反論――政権交代って何よ?
・「一カ月は黙っていろ」――いきなりの下村封じ
・総理大臣の孤独――防火壁の筒の中で
・「攻めの広報」か、「守りの広報」か
・「昨日の見出し」か、「明日の見出し」か
・官僚との関係―――『大臣レク』という名のアート
・「大事だから出ろ」か、「大事だから入れ」か
・立ちはだかった「チェッカーズ」の「涙のリクエスト」
・そうだったのか! 役人の言葉がわかりづらい理由
・「下村さん、何としても総理を止めて下さい」

[第二章] スパゲティ総理からの脱却を目指して (2011.1.1~3.11)
・「謝罪」と「植物」――幻の新春メッセージ
・「萎えるんですよ」――史上初のインターネット番組の〝スクープ〟
・チンギスハーンとナポレオン
・「こんなメモが落ちていた」―――苦肉の詠ミ人知ラズ
・突破口を求めて――福山副長官と下村の〝掛け合いDJ〟
・「もうダメだ」――下村が諦めかけた日

[第三章] 全てを変えた東日本大震災 (2011.3.11~6.1)
・総理に密着――人類史上初の重大記者会見に備える
・「早く入れ!」―――福島原発、ヘリ視察で浴びた第一声
・「不都合でも隠すな、不確かなら流すな」――菅・枝野の2大方針
・「あいつら国賊だ!」――専門家たちに〝人間のストレステスト〟を
・66年ぶりに「死ね」と指示した総理―――東電撤退問題の本質
・省庁の枠を超え――「いのち・くらし・しごと・その他」で発信
・政府が三つ欲しい――全ては同時進行で起こった
・浜岡原発停止要請――総理執務室、会見直前の応酬
・エネルギー政策大転換への序曲――パリ、深夜の激論

[第四章] 〝首〟カードと引き換えに (2011.6.2~9.2)
・「役割が果たせたら」「それまでは私に」は辞意表明か?
・「へー、俺はこういう思惑なんだ」――総理解説記事を読む総理
・さりげない宣戦布告―――不信任回避後、最初のブログ
・ツイッターが滝になった――史上初の「インターネット懇談会」
・〝AKB48〟のBチームと組んで――余命二ヶ月計画
・「日和った言い方」―――脱原発宣言への総理の不満
・「お疲れ様」ぐらい言わせてよ――官邸を去った総理からの電話

[第五章] 職場を変えて…〝伝わる広報〟への挑戦 (2011.9.3~2012.3.31)
・「元に戻したくない」―――明治維新以来の改革へ!?
・「そんな言い方では伝わりません」―――大臣へのダメ出し効果
・「私の復興便り」、140字の特訓、サグラダ・ファミリア

[第六章] 原発広報…「再稼働」から「ゼロ戦略」まで (2012.4.1~10.19)
・「枝野さん、ブレて下さい」―――揺れる大飯再稼働
・ギリギリで言質は残さない―――言葉選びの神経戦
・「あ、ケンちゃ~ん!」―――官邸前金曜デモ、政治を動かす
・電力会社員は非国民?―――「国民的議論」の大きな汚点
・「シャンシャン集会にしませんよ」――まさかの司会条件クリア
・「運動じゃないんだ!」――〝原発ゼロ〟を巡る衝突
・戦略決定前夜――大詰めのオセロ、ありがとう206号室
[エピローグ] 否定論理からは、何も生まれない

今まで政治関係の本なんて手に取ったこともない、という方に興味深く読んで頂きたくて、そういう筆致で書きました。したがって、政治家さんや政治記者さんが読んでも全く面白くありませんので、あらかじめ御了承ください。