下村健一の中と外

肉無しの恨み

2008年4月23日

ハンバーガーのお店に入ったときのこと。

「このお店には、ちょっとした思い出があるんだ」

健ちゃんは、お嬢さんと一緒に、以前このお店に来たときの事を話し始めました。

「娘の分を注文したときに、“ケチャップだけでお願いします”って言ったんだ」

お嬢さんは、ピクルスもマスタードも苦手なんだそうです。
小さいお子さんなら、大抵はそうですよね。

「で、公園に行って、買ったハンバーガーを一緒に食べたんだよ」
 
父と子が公園に行く…何とも、微笑ましい。
 
「そしたら、娘のハンバーガーは、本当にケチャップだけで、肉が入ってなかったんだよ!」

ええーっ!? パンとパンの間に、真っ赤なケチャップだけだなんて、はっきり言って、まずそう…。思わず、私は顔をしかめてしまいました。

そうでしょ、と健ちゃんは腹立たし気に続けます。

「普通、ハンバーガー屋に来て、肉無しの、ケチャップとパンだけなんて、注文すると思う? あのバイト君、一体、何考えてたんだか」

可哀想なお嬢さん。取り替えてもらえば良かったのに。

「だって、娘が食べちゃったから」
なんと、お嬢さんは、そのケチャップパンをたいらげた後で、事態を健ちゃんに報告したのでした。

《肉無しの文句》を一言も言わなかったお嬢さんに比べて、《肉無しの恨み》をいつまでも引きずっている健ちゃん。

大人は、どっちだ!? (エリー)