新年第1回ということで、ちょっと趣向を変えて、週末の朝にふさわしい、くつろぎモードでスタート。作曲家&キーボード演奏家の、中村幸代さんをお迎えした。(以下、中村尚登キャスターと混同を避けるため、なれなれしくも「幸代さん」と表記させて頂く。)
17歳の頃から作曲を始め、1989年に"Yukiyo"というアルバムで、インストゥルメンタル・アーティストとしてデビュー。TBS系だけでも、ドラマ「部屋においでよ」「魔の季節」「キャンパス・ノート」等の主題歌やサウンド・トラック、「世界遺産〜エジプト篇〜」音楽プロデュース、「灼熱シルクロード〜中央アジアを行く〜」テーマ音楽、最近では去年9月に「ネバーランド」サウンド・トラック…等々、たくさんの作曲を手掛けている。
−今日は、非常に忙しい最中に、無理を言って来て頂きました。実は、一昨日(02.1.3)から、あの雅楽の東儀秀樹さんの新春コンサートツアー『風と光の中のミューズ』に、ピアニスト兼アレンジャーとしてゲスト出演中なんですよね。
- 幸代:
- 東儀さんが作られた基礎を元にして、それを生かしつつチェロとヴァイオリンの女性を加えたアレンジをしているんです。
−全11回の公演中、2回目まで終えられて、すべり出しも順調ということですね。
そもそも、なぜ幸代&東儀などという、しゃれた組み合わせが実現したのか? 独立したアーティスト同士の共演話って、発端はどうやって生まれるのだろうか? 私(下村)は、常々そこにミーハー的興味があったのだが、実は今回はたまたま、話が生まれる瞬間に立ち会うことが出来た。
去年の夏、外苑前のあるレストランで、やたら交友関係の広い佐々木明子アナウンサー(テレビ東京)がセットした、4〜5人の食事会があった。何故か私も闖入していたのだが、その場で東儀さんと幸代さんは初めて言葉を交わし、意気投合。やがて…
- 幸代:
- 私のホームページの方に、「CDを聞いて、近い物を感じました。楽しみにしています。」というメールを東儀さんが下さって、大変嬉しく思いました。それからは、トントン拍子に(コンサートの)話が進んで行きました。
それにしても、ファンが書き込むホームページ用のメールにメッセージを紛れ込ませて来るところが、"実はオチャメ"な東儀さんらしい。幸代さんの事務所スタッフの人たちは、「本物の東儀秀樹かな〜」「イタズラだよ」と、ひとしきり悩んだらしい。
−近頃は大自然系大型ドキュメント番組の音楽プロデュースが増えていますが、曲を聴いているとさもありなん、という感じがしますね。聴いていると風景が広がってくる曲が多いんですよね。先月発売のニューアルバム『In my life』のキャッチフレーズは、「自分の1時間を大切に出来るヒーリング・アルバム」というそうですね。
- 幸代:
- 20代はすごく必死で、駆け足で来た気がするんですが、30代になって、1つ1つを丁寧に生き、丁寧に暮らしていけたらいいなあ、というように、気持ちがちょっと変わってきました。小さなことでも大事に思えていきたいなぁ、ということから、それをテーマに作曲しました。
−この中の曲『Life』は、ニューヨークでレコーディングしたそうですが、いつ頃?
- 幸代:
- 3月です。初めてのニューヨークだったんですが、9月11日は「ガーン」という感じでしたね。
−テロの後、世界中の人々が癒しを求めてきていて、例えばファッションも黒基調から白基調に変わったなど、色々な話を聞きます。幸代さんの作る曲にも、ますますニーズが高まっていくと思うのですが、ご自身の曲作りにも、あの事件が影響したということはあるんでしょうか?
- 幸代:
- 音楽をやらせてもらっていて、テーマにしていきたいことが、より明確になってきた気がします。《恨みを恨みで解決できるんだろうか? 》ということを、あれ以来ニュースを見る度に考えます。強さもあり、聴く人に不思議と伝わっていく何かがある「音楽の力」を信じたいと思いますし、自分も今この世の中に生かされている者として、音楽をやらせて貰っている者として、《命の大切さ》ということはより強くテーマにして行きたいと思っています。
−"音楽"という字は「音を楽しむ」ということの他に、「音で楽になる」という意味も持っていますからね。 ところで、最近、南の島にも行っていたとか。
- 幸代:
- ヤップ島、オレアイ島という所です。2月8日(金)夜8〜9時放送予定のBS-iの番組「HEART OF EARTH〜未来を拓く古代航海術〜」の収録で。石川直樹君という若い冒険家の方(7大陸最高峰を史上最年少で制覇)と一緒に、冒険の素晴らしさ、自然と人との共存の素晴らしさ、ということをテーマにした番組です。
−南の島には初めて行かれたのではなく、5年前、外務省主催の国際文化交流の一環で、ソロモン諸島で日本人初の公演まで行われたそうですね。
- 幸代:
- 今年も色々な所を歩いて、色々な事に出会って、その体験を音楽に託していきたいなぁと思っています。去年はライブを積極的にやらなかったんですが、今年は少しずつ皆さんに聴いていただける機会を増やしていきたいです。