下村健一の中と外

内閣審議官就任にあたって

2010年10月21日

明日(10/22)から毎日、首相官邸に通勤して、総理の情報発信のお手伝いをすることになりました。

新人議員時代から知る菅さんが総理になってから、何がやりたいのか全然伝わって来ないことに、私は苛立ちを感じていました。考えが国民に正確に伝わって、その上で『それは違う』と判断されて退陣するならまだしも、『何をやりたいか/なぜそう決めたのか分からないから』という理由でズルズル支持が下がってサヨナラなんて、馬鹿みたいだと思っていました。

そんな疑問を菅さんに直接ぶつけたところ、「ならば情報が皆にわかりやすく伝わるよう、一緒に考える役をやってくれよ」と切り返された…というのが、大雑把な顛末です。

民主党代表選で菅さんが再選された後、いくつかのテレビ番組でコメンテーターが「お手並み拝見」という表現をしたことに、私は強い違和感を感じていました。そんなお任せ民主主義を、この国はいつまで続けるつもりなんだ。我々全員が、この社会の行方を真剣に考えてゆかなければいけないのに、まるで傍観者のような口先だけの批判ばかりしていたら、さらにどこまでもこの国の沈没は止まらないじゃないか。そう思っていただけに、「ならば手伝え」と言われた時、「いや、自分は批判だけしてますから」とは逃げられなかったのです。青臭いと思われるかも知れませんが、それが転身の真相です。

そもそも私はこれまで、市民メディアの支援やメディアリテラシー教育にずっと取り組んできました。その基盤にあるのは、「情報という血の巡りを良くして、この社会をもっと健康にしたい」という思いでした。今回の仕事も、その延長線上にごく自然に位置しているものだと感じています。

一応、2年間の任期付き国家公務員ということになりますが、いつまで続く政権かは誰にもわかりません。沈みそうな泥舟にわざわざ移るのか、と心配してくれる知人も少なくありません。でも、出来るだけの事はしてみたい。冷笑されるのを承知で夢をホザかせて頂くならば、任期いっぱい務めきった2年後の日本が、「国のトップの考えている事が、世界一、国民に届いている社会」になっていたら…と思います。

報道をご覧になった方々から、ずいぶん激励や「期待している」という声を頂いております。本当にありがとうございます。ただ、性急な期待は、しばしば幻滅への入口です。まずは1年目の到達目標の365分の1ずつ、日々じわじわと取り組んでいきたいと思っておりますので、しばらくは「何も変わらないじゃないか!」と思われるかも知れませんが、やや長い目でお付き合いいただければ幸いです。

また、発信だけでなく、国民の当たり前の感覚を総理の耳に確実に受信させる(=裸の王様にはしない)こともまた、私のミッションかと考えます。どうか、このサイト宛のメールや、ツイッター等で、総理への建設的な疑問・提言等を、どしどしお寄せ下さい。私が届けます。そうしたご意見は又、私自身がこれから「あちら側の人間」になってしまうのを防ぐためにも、必要な命綱になりそうな気がしております。ご協力を、よろしくお願いいたします!