ケンボーの走り書き

やっぱり犬ゾリだよなぁー

2005年4月7日

 順調に更新を続けていた当欄が突如1ヶ月近く停滞したのには、自分勝手な理由がある。約3ヶ月遅れの正月休みで海外に行っていたため、その留守中と、前後のシワ寄せで無茶苦茶に仕事が重なり合った期間中、メッセージを書き込む時間がどうにも取れなかったのだ。(甘い!)

  行った先は、アラスカ。以前米国で働いていた頃に、知り合いのドッグ・マッシャー(犬ゾリの御者)とアラスカン・ハスキー犬達が住む途方もなく広大な敷地内の一角に衝動的に小屋を建てさせてもらって以来、毎年訪問している。(東京の自宅は借家なので、このアラスカ小屋が、僕にとっては小さいながらも地球上で唯一の“持ち家”なのだ。) ここ数年は夏の訪問が続いていたので、今回は久々の雪景色との再会だった。
  冬のアラスカの魅力は、なんと言っても昼の犬ゾリと夜のオーロラ。4頭の犬達が引くソリの後部に1人で立って、木立の間のトレイルや、全面結氷した川の上の雪原を疾走すると、顔面に叩きつける冷気までが爽快感に変わってしまう。犬小屋の中で退屈していた犬達にとっても、大自然の中を走れる喜びは大変なもので、走り出す前から「早く行こう、行こう!」と急き立てられる。エンジン音もなく、ただハッハッハッという吐息だけが聞こえる走行中は、犬達の8個の耳が一生懸命に真後ろを向いて、御者である僕の指令を聞き漏らすまいとしてくれる。簡単に言うと、「ハイク!」がアクセルで、「ウォー!」がブレーキ。自分の肉声が頼りの操縦は、なんだか自分が大自然の一部となって移動しているような感覚を呼び覚ます。(自動車を運転している時の大自然との“別物”感覚とは対照的だ。)

  無論、僕の体験などは、プロのドッグ・マッシャーたる友人に比べれば、単なるママゴトに過ぎない。自分が“なんちゃってナチュラリスト”である事は重々承知している。でも、いいじゃないか。ドップリの都会人と筋金入りの自然派の間に、こういう「時々目を覚ます」奴がいたっていい。