日中韓NGOが一堂に「環境市民会議」

放送日:2002/11/16

本日(11月16日)東京で、新しい時代の到来を予感させる、ある国際会議が開かれる。「第一回東アジア環境市民会議」という名前で、日中韓三国の環境NGOの代表が一堂に会する。

面白いところは、「日中韓の三国なんだから、何も英語を使わなくても良いじゃないか」という考えで、英語を一切使用しないところだ。皆それぞれが通訳を介して母国語で喋り、いずれ機械翻訳が可能になるのを待とう、ということである。

今回は、この会議の日本側の主催者である、『東アジア環境情報発伝所』の廣瀬代表にお話を伺う。

−発電所ならぬ「発伝所」という名称は、どこから来たのですか?

廣瀬:
私達は、団体名を決める際も、英語を廃した名前にしよう、ということに頭をひねりました。環境情報を「発信して、伝えるところ」ということで、「発伝所」という名前にしました。
日本、中国、韓国とも、環境問題が非常に深刻で、それに真剣に取り組んでおられる方々が沢山います。その方々に、広くは日中韓15億人の人々に、生の情報をそれぞれの言葉の国で伝えていく事が目的です。

この3国の環境NGOの共同サイトは、トップページから日中韓3言語が選べるようになっており、それぞれの言語で環境に関するニュースが読めるようになっている。また、ニュースと共に、それぞれの国の環境運動団体の紹介が掲載されている。各国の言葉で、他の国の詳細な団体紹介が情報交換されるのは、初めてのことだろう。また、各情報の筆者情報も掲載されており、メールなどで直接連絡を取ることも可能になっている。
団体の詳細情報はまだまだ少ないが、簡単な紹介と各団体ホームページへのリンク集も用意されており、こちらには非常に多くの団体がリストアップされている。

−先入観かもしれませんが、中国のNGO団体というと、なかなか自由に活動できる幅が少ないのではないでしょうか?

廣瀬:
お国柄がありますから、日韓のように全く自分達の思い通りというわけには行きません。ですが、限られた状況の中で、少しでも環境問題に興味を持ち、中国の深刻な問題に取り組んでいる人もおられます。今回の会議には、そういう方々をお招きしました。
中国政府も、公式には環境問題に取り組む姿勢を表明しているので、環境保護団体とは協調していこう、という路線になっています。

−しかし、環境保護の市民運動となると、往々にして政府のやり方と衝突する、ということがありますよね。そういう場合はどうしているのでしょう?

廣瀬:
中国国内で声高に反論、というわけには行きませんが、一つにはインターネットを使って、少しずつ外部に情報を発信していっています。また、一昨年、北部の水不足を解消するため、長江から黄河まで運河を引く、という計画を中国政府が発表しました。それに対して、「自然の友」という団体が、毎月発行している機関誌で異議を表明したのですが、政府はこれについて何も文句を言いませんでした。

−今日の国際会議のテーマは、どのようなものですか?

廣瀬:
テーマは3つあります。それぞれの国が一つずつ推したものをそれぞれ採用しました。
中国が推したのは、「生物多様性」、自然をどうやって守っていくか。日本は「温暖化防止」。韓国は「黄砂」の問題を取り上げて欲しい、と最も熱烈にアピールしていました。日本での花粉のように、黄砂が非常に増え、社会問題になっているようです。

−そして、会議の最後には「東京宣言」を出されるのですよね。

廣瀬:
せっかく3カ国の環境NGO代表が集まったのですから、議論だけではなく行動を、と考えています。議論を行った後、いくつかの行動プランを発表していきたいと考えています。
具体的には、我々のホームページを使って活発に情報交換していこうというもの、「東アジア環境”緑書”」というレポートを定期的に発行していこうというもの、より広範な人達に参加して貰い、活動を実践していただこうというものです。
例えば、今問題になっている黄砂ですが、ビルの屋上にお皿を一枚置いておくだけで、黄砂が現在どれくらい来ているか、統計的に計測することが出来ます。それを、日中韓三国で同時に行うことで、どういう風に砂が流れてくるか、科学的データを集めて予想しやすくなります。

東アジア環境市民会議は、本日10時から17時まで、水道橋のYMCAアジア青少年センターで開催される。ご興味のある方は、事務所03-3263-9022までご連絡いただきたい。

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