「チルドレンズ・エクスプレス」開局

放送日:2001/02/03

TV・ラジオ局や新聞社に記事を配信する、「通信社」という仕事。その新しいのが、今週東京にオープンした。―――ただし、記者は全員8〜17才という異色集団、「チルドレンズ・エクスプレス」。今回は、その記者さん達の一部を、スタジオに招いた。

もともと「チルドレンズ・エクスプレス」は、75年に米で設立された、国際的なNPOのメディア団体だ。子どもたちの声を一般のメディアにのせて、政策決定者、政治家、市民へ届けており、現在米英に9ヶ所の活動拠点を持つ。ドイツ、南アフリカ、ヴェトナム等へも支局を作る計画があり、今回、アジア最初の拠点として、東京支局がオープンした。

取材テーマは、教育、世界事情、政治、健康、環境、子どもの権利、子どもの活躍…等々。とにかく、ただの"子供のニュースごっこ"に有らず。レベルの高さが凄い。米では、82年にピュリッツアー賞ノミネート、94年にはケーシーメダル受賞、88年の大統領選挙戦取材では、エミー賞とジョージ・フォスター・ピーボディ賞を受賞。既存の"大人メディア"にとって、恐るべきライバル出現かもしれない!

たしかに私も、『BSアカデミア』という大学生だけの衛星ラジオ局で世話人をしている実感として、《子供の質問の強み》というものは、存在すると確信できる。すなわち彼らには、知ったかぶりが無く、ストレートで遠慮がなく、時には「王様は裸だ!」とさえ、屈託無く叫べてしまうのだから。

今回は、そんな凄い実践トレーニングを米国本部で受けてきた日本の子供たち5人が、帰国して、東京で新人29人にコーチし、日本支部誕生となった。大人のジャーナリストの指導は、一切無いという。実地研修の様子を見ることすら、大人には禁じられているという、徹底的な自立ぶりだ。

彼らの書いた記事は、どこで読める(どこに配信される)のか? 今はまだ2社としか契約していないそうだが、将来的には広げてゆく構想だ。海外の支局が取材した記事の翻訳や、日本の支局独自の記事を、ホームページ、ニュースレター、書籍、その他で発表していきたいという。やがては、主要メディア機関による報道の中でも、ごく普通に(?)見られるようになるのかもしれない。

明日からは3日間、『チルドレンズ・エクスプレス』東京支局と北米支局の子供記者たちが韓国に渡り、「アジア太平洋青少年テレビ会議」というユニセフ主催の国際会議に参加する。 行動範囲は、急ピッチで拡大しつつある。

理事長の、前田みかさん(16歳)が作った詩。

どうして人は人を傷つけるの? どうして人は人とけんかするの?
どうして人は人を殺すの?  どうしたら人は優しくなれるの?
どうしたら人と仲良くなれるの? どうしたら人は強くなれるの?

子どもたちには出来る
子どもたちの素直な優しさと 子どもたちの本当の強さと
子どもたちの純粋な愛で 子どもたちが変えてみせる
世界中の人たちが笑顔になれるように 私が変えてみせる

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