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ヒルズから地べたへ---ライブドア&楽天の新しい挑戦

2005年2月2日

 一昨日、『 ライブドア・ニュース』の職場を視察しに行った。六本木ヒルズの中心にそびえる森タワー38階にある、南向きの眺めのいいオフィスは、大都会を眼下に納めていたが、彼らが今やろうとしている事は、逆に極めて“地べた”に足の着いた試みであると知った。彼らは、単なる既存のニュース・サイトの焼き直しをしようとしているのではなく、自ら「市民記者」を養成して、サイト上に新たな市民メディアをも形成しようとしているのだ。韓国の『 OhMyNews』(オー・マイ・ニュース)を最大の成功例とするこうした試みは、日本でも『 JANJAN』や『 日刊ベリタ』など、いくつものグループが挑戦中だが、まだまだ知名度は低く、ニュース・サイトの命である「皆に見てもらえる」状態に至っているとは言い難い。その点で、名の知れたライブドアのサイト内にこうした試みが生まれる事は、注目に値する。(もちろん、一企業の傘下にあるという事による報道内容の制約などは、他の“純正”市民メディアに比べて大きな弱点とはなろうが。)

  一方、同じ森タワーの18階に本社オフィスを構える、楽天。先週、『NEWS23』の「 それから七十五日」の取材で、仙台にその楽天野球団の裏方さん達の準備状況を見に行った。彼らは既に「地域密着推進部」という、ユビキタスが売り物のIT企業にはおよそ似つかわしくないような名称の部署を新設し、地域住民に楽天ファンを増やそうと、文字通り地を這うような活動を展開していた。町内会の新年会やら地方議員の後援会などを、小まめに挨拶回りするその姿は、まるで地盤のない選挙区に舞い降りた“落下傘候補”の集票活動のようだったが、インターネットを過信しないそのレトロな汗のかき方には、好感が持てた。

  昨秋、プロ野球新規参入問題で、常にセットで報じられていた、ライブドアと楽天。今、それぞれ異なるフィールドで《市民》に真剣に目を向け、不慣れな取り組みを手探りで始めている事が、僕には非常に興味深い。