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メディアが変える・既存メディアは変わるか

NHKの仲間達に、エールを送ります。

2005年1月26日

 NHKの海老沢会長が、昨日辞任した。これによってNHKの内部に、「一連の騒動はこれでおしまい」という空気が一気に広まることが、とても心配だ。何であれ“組織の問題”は、外部がギャーギャー騒ぐより、内部の人間が自ら改革に立ち上がる方が大事に決まっている。現に、私の知る何人かのNHKの制作現場の職員達は、これを機に“膿み”を出し切ろうと、組合レベルや個人レベルで連日深夜まで真剣な議論を重ねている。しかし、彼らがいくら熱く呼びかけても、何が問題なのかすらピンと来ていない鈍感な職員も少なくないという。そうしたNHK内“鈍感派”が、会長辞任という表面上の儀式でドッと増えるのではないか。そうなったら、この改革の絶好機は泡と消える。

  先週の火曜日(1月18日)、参議院議員会館で開かれた「NHK問題に関する緊急記者会見とアピール」に、私も発言者の一人として登壇して来た。メディア問題で批判的発言は一切行なわず、ただ黙々と代案(市民メディア)の創出に取組む、というのが、TBS退社以降の僕の基本スタンスだが、今回は呼びかけ人の野中章弘さんの勢いに押されてしまい、末席に連なった。《NHK vs 朝日》というチャンバラに目を奪われて、二重三重に層を成すこの問題の本質を見失うな、という指摘は各発言者から言い尽くされたので、私は敢えて、違う事を言った。

  「私は、NHK受信料を完納しています。とても良いと思う番組が、いくつもあるからです。確かに、受信料不払いという抗議方法も、今のNHKを目覚めさせる一つの手段でしょう。しかし私は、NHK内部で何とか改革しようと頑張っている良心的な職員達を、不払いによって兵糧攻めにするよりは、むしろ支払い続けながら意思表示する事で、彼ら自身の改革努力に前向きなプレッシャーをかける、という手段を選びたい。」
  大体このような事(細部の言い回しは覚えていない)を喋ったのだが、やはりNHK嫌いな人が多く集まった集会だったのか、「私は完納」と“カミングアウト”した瞬間には、「えっ」というような空気が一瞬会場に走った。(苦笑)

  僕の愛する、NHK内“敏感派”の皆さん! 会長辞任で幕引きというこのピンチを、何とか乗り越えてください! ここが踏ん張りどころです!